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お墓の話し13「寿陵とは?知らないと損する寿陵墓・生前墓のメリットと注意点」

長崎の石材店3代目の話しです。

寿陵とは?知らないと損する寿陵墓・生前墓のメリットと注意点


    寿陵という言葉を聞いたことがあるでしょうか。寿陵墓、生前墓ともいわれます。
     
    寿という漢字が入っていることから、どこかおめでたい響きを感じます。
    寿陵という言葉を聞いたことはあっても、詳しくは知らないという方も多いかもしれません。
     
    今回は、寿陵とはいったいどういうものなのかを詳しくみていきます。
     

    寿陵とは?

    寿陵は、秦の始皇帝が寿陵を建てたことが始まりといわれています。始皇帝のお墓を始皇陵といい、寿陵という言葉の起源とされてきました。寿陵の「陵」はみささぎと読み、皇帝の墓という意味を持ちます。
     
    日本では、飛鳥時代に聖徳太子が寿陵を建てたことで有名です。
     
    寿陵は生前墓という呼び方が示す通り、生前に建てるお墓のことを指します。ご自身が亡くなった後に遺された家族が建てるお墓と違い、自分で自分のお墓を建てるのです。
     
    生前にお墓を用意し、冥福を祈ることを逆修(ぎゃくしゅ)といい、仏教では非常に徳の高いこととされ、幸福を招くと考えられてきました。
     
    そのため寿陵は「長寿」「子孫繁栄」「家庭円満」を授かる、非常に縁起の良いこととされています。
     

    寿陵のメリット

    縁起のいいこととされる寿陵ですが、それだけではありません。実際建てるうえでのメリットをご紹介します。
     

    自分自身で墓石・墓地を選べる

    生前の元気なうちに自分自身のお墓を建てるため、好きな色、形などを選ぶことができます。デザインや石種など自分で決められるのは寿陵ならではです。
     
    また、時間をかけてお墓を検討できるため、納得のいくお墓を建てられるのもメリットのひとつです。墓地に関しても同様で、自分が眠りたい場所を選ぶことができます。
     
    これまでは、お墓を子供など跡継ぎに任せるという方が割合の多くを占めていました。ですが近年では、自分好みのお墓を建てたいというニーズの高まりから、終活の一環として寿陵を選ぶ方が増えています。
     

    相続税が掛からない

    金銭面でも寿陵にはメリットがあります。
     
    お墓やお仏壇などは祭祀財産となり、遺産相続の際、課税対象外となります。
    お墓を建てるための現金や預金を遺している場合、お金は相続財産となるため、課税の対象となるのです。
     
    生前にお墓を建てておくことで、その分は課税されないというわけです。
     
    跡継ぎに負担を掛けたくないと思っている場合、大きなメリットといえるでしょう。
     

    寿陵の選び方

    寿陵を選ぶ際に、ご自身の意向をふんだんに取り入れたお墓を建てたくなると思いますが、残された家族のことも考えて選ぶ必要があります。
     
    例としてお墓参りがしやすい場所や日当たりが良いこと、お手入れがしやすいことなどが挙げられます。お墓参りをする方をイメージしながら考えてみることがポイントです。
     
    お墓のデザインも見た目だけではなく、高齢の方でもお墓参りがしやすいようバリアフリーにしたり、小さい子供が怪我をしないように角は丸くするなど、気を配る必要があります。
    そのようなこともプロの石材店と相談しながらじっくりと打ち合わせができるのが寿陵の醍醐味のひとつです。
     
    お墓に彫る文字を自分で選ぶことができるのもお墓選びの中でとても重要なポイントといえるでしょう。従来のように 「○○家之墓」、「南無阿弥陀佛」だけではなく、漢字一文字やメッセージなど、より自由な文字が彫られるようになりました。

    長崎でも最近増えてきた洋墓やデザイン墓は、お墓の中でも特に個性あふれる文字を彫り込む傾向にあります。
     
    「ありがとう」とひらがなで刻まれた洋墓のお墓を見ることがありますが、まったく同じものはほとんどありません。同じ「ありがとう」という文字でも、書体や字の配置、大きさの違いなどさまざまな違いがあります。

    お墓の文字をみることで、建てられた方の想いが伝わってくるのではないでしょうか。
     
    その他にも家紋はどこに彫るのか、ご先祖様はどこまで遡って彫刻するのかなど、じっくり時間をかけて考えましょう。
     

    寿陵を建てる際の注意点

    実際に寿陵を建てる際、注意しなければならない点があります。
     
    まず、建てたい墓地・霊園が寿陵が可能かどうかを聞いておきましょう。
     
    公営霊園の応募条件の中にお骨を持っていること、という項目がある場合は寿陵はできません。
    すでにご先祖様のお骨があり、お墓のお引越しを兼ねての寿陵でしたら問題なく建てることができます。
     
    墓地や霊園にお墓を建てると、墓石代・墓地取得代の他に年間管理費等の支払いが必要な場合があります。寿陵を検討される際は、管理費などの初期費用以外についても必ず確認しておきましょう。
     
    次に、メリットの項目で相続税対策になると説明しましたが、お墓の購入にローンを使う場合は気をつける必要があります。
    本来、ローンは債務控除の対象になりますがお墓の購入に使用するローンの場合は債務控除を受けることができません。

    お墓は祭祀財産に分類されるため、相続税が課されないのと同じ理由です。
    ローンを完済する前に本人が亡くなってしまうと、ローンは遺族に引き継がれ、債務控除の対象外となります。
     
    家族の負担を減らせるというメリットを持つ寿陵ですが、ローン残高が多ければ多いほど、逆に遺された家族の負担になってしまいます。相続税対策として寿陵を考えている場合、可能であれば現金で支払うことをおすすめします。
     

    開眼法要の有無

    一般的にお墓を建てた後、入魂式(開眼法要)を営み、お墓に魂を入れます。
    寿陵の場合はどうなるのでしょうか。
     
    結論から言うと、開眼法要が絶対に必要というわけではありません。しかし、開眼法要を行うことを推奨されています。
     
    仏教の教えでは入魂式(開眼法要)を行う前の墓石は普通の石であり、特別な意味を持ちません。
    入魂式を営み、魂を迎え入れることで初めてお墓に魂が宿ると考えられてきました。
     

    まとめ

    寿陵についてご紹介しましたが、いかがでしたか。
     
    縁起がいいことはもちろん、金銭面や遺された家族への負担、お墓選びに使える時間の長さなど寿陵には様々なメリットがあります。

    寿陵を建てたことによるメリットと注意点、それぞれを踏まえたうえで自分に合うと判断した場合は検討するのもいいかもしれません。
     
    寿陵として建てる場合でも、自分ひとりのお墓ではなく家族にとってのお墓になります。きちんと家族内で話し合い、納得と理解を得たうえでお墓を建てるようにしましょう。

     

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    お墓の話し1「お墓はなぜ必要?お墓の存在意義とは?」
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