お墓の話し6「お線香をあげる理由とは?」
長崎の石材店3代目の話しです。
お線香をあげる理由とは?|意味・種類・注意点|詳しく解説します
お墓参りやお仏壇にお参りをする際、ほとんどの方がお線香をあげて手を合わせます。
子供の頃から親や祖父母に倣ってお線香をあげたことがあるのではないでしょうか。
しきたりとして、多くの方が当然のようにお線香を持ってお墓へ向かいます。
しかし、お線香をお供えする本当の意味を理解して、お供えしている方はあまり多くないかもしれません。
そこで今回は、お線香をあげる理由についてご紹介します。
お線香をあげる意味
そもそも、なぜお墓にお線香をお供えするのでしょうか。
故人の食事
故人が亡くなり、四十九日を迎えるまでの期間を中陰、もしくは中有といいます。
現世(この世)と幽世(あの世)をさまよい歩くといわれているこの期間、故人の食事となるのがお線香の香りです。
そのことから故人にお線香をあげる行為は、食べ物を差し上げることと同じ意味を持ちます。
そのため四十九日までは故人の食事を絶やさないよう、毎日お線香を焚いておくという風習があるのです。
これを、香りを食べると書いて香食といいます。
お線香を焚くようになったのは、古代インドの仏教経典「具舎論」が元となったといわれています。
善人は良い香りを食べ、悪人は嫌な香りしか食べられないという記述があり、故人に良い香りを食べていただけるようお線香を焚くようになりました。
心身を清める
お線香を焚くことにより、その場や自分自身を清められるといわれています。
お線香には香りがあり、香りがあたりに広がることでその人の持つ香りが消えます。
お墓参りなど故人へ挨拶をする前にお線香に火を灯すことで、俗世に染まった心身を清めてくれるのです。
お仏壇やお墓を清め、清浄な状態を保っておきましょう。
故人との対話
仏教の教えでは、お線香をあげることで香煙を通し、故人と心を通わせられるとされています。
お線香の香りがわたしたちと故人とを繋げ、あの世とこの世の橋渡しの役目を担ってくれるのです。
心身を清めたあとはゆっくりと故人と向き合い、語らう時間にしましょう。
時間をはかる
まだ時計が一般的に普及していなかった頃、お線香は時間を計るものとして時計の代わりに用いられていました。
特にお寺では修行をしたり座禅を組んだりするときに、お線香が1本燃え尽きるまでの時間を一区切りとしていました。
お線香に火を灯してから燃え尽きるまでの約40分間、ひとつのことに集中し、精進していたのです。
常香炉
一部のお寺では、中央に大きな香炉が置かれていることがあります。
有名なのは浅草の浅草寺でしょうか。
常に参拝者がお線香をあげており煙があがっていることから、常香炉とよばれます。
常香炉で焚かれているお線香は故人への供物かというと、そうではないようです。
心身を清めるという意味合いが強く、参拝前に穢れを落としたり場を清めたりするために置かれているといわれています。
中には身体の悪いところを煙に向かって払い清めるとよくなるという言い伝えも存在します。
それも煙の持つ浄化作用といえるでしょう。
お線香の種類
お線香には種類があります。
材料で区別すると2種類に分かれていて、匂い線香と呼ばれるものと杉線香と呼ばれるものです。
匂い線香
椨(たぶ)の木の樹皮を原料として、粉末化したものに沈香や伽羅などの香料や香木を調合してつくられます。
一般的にお香といわれるものの中でスティックタイプが該当します。
近年ではお香ブームということもあり、身近に感じることも増えつつあります。
杉線香
よく乾燥させた杉の葉を原料として、湯やのりを加えてつくられています。
杉の香りがし、大量に煙が出るので一般的にお墓参りにて用いられるのはこのタイプです。
お線香といえばこちらを想像する方が多いのではないでしょうか。
お線香をあげる際の注意点
お墓やお仏壇にお線香をあげるとき、注意しなければならないことがあります。
それは、火を消す際に人の口で吹き消さないということです。
簡単だからとついやってしまいそうになりますが、仏教では大変無礼なこととされています。
人間はさまざまな命をいただいて食事をしています。
時に嘘をついたり人をだましたりします。
そんな人間の口から出る息は穢れとされ、清浄なものにかかることは古くから忌避されてきました。
穢れた息を仏様に吹きかけることは大変不作法ということです。
人に向かって息を吹きかけたり、人が食べるものに息を吹きかけたりしたら嫌だと感じるのと同じです。
お線香の火を消す際は、お線香を持ち縦に振るか手で仰ぐようにしましょう。
まとめ
お線香について説明しましたが、いかがだったでしょうか。
普段、当たり前のようにあげているお線香にも意味があります。
意味を踏まえたうえで毎日のおつとめやお墓参りをすることで、いつもと違った気持ちでご先祖様と向き合えるのではないでしょうか。
お線香にはさまざまな香りがあります。
故人の好きだった香りや、いつもと違った香りなどお線香を探してみるのも良いかもしれません。
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この記事は「くようのコ・ト・ナ・ラcotonara」の記事を参照しています。